第二節 予算の作成
第十六条  予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為とする。
第十七条  衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。
2  内閣総理大臣及び各省大臣は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを財務大臣に送付しなければならない。
第十八条  財務大臣は、前条の見積を検討して必要な調整を行い、歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の概算を作製し、閣議の決定を経なければならない。
2  内閣は、前項の決定をしようとするときは、国会、裁判所及び会計検査院に係る歳出の概算については、予め衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長に対しその決定に関し意見を求めなければならない。
第十九条  内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、国会が、国会、裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。
第二十条  財務大臣は、毎会計年度、第十八条の閣議決定に基いて、歳入予算明細書を作製しなければならない。
2  衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣(以下各省各庁の長という。)は、毎会計年度、第十八条の閣議決定のあつた概算の範囲内で予定経費要求書、継続費要求書、繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書(以下予定経費要求書等という。)を作製し、これを財務大臣に送付しなければならない。
第二十一条  財務大臣は、歳入予算明細書、衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣(内閣府を除く。)、内閣府及び各省(以下「各省各庁」という。)の予定経費要求書等に基づいて予算を作成し、閣議の決定を経なければならない。
第二十二条  予算総則には、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為に関する総括的規定を設ける外、左の事項に関する規定を設けるものとする。
一  第四条第一項但書の規定による公債又は借入金の限度額
二  第四条第三項の規定による公共事業費の範囲
三  第五条但書の規定による日本銀行の公債の引受及び借入金の借入の限度額
四  第七条第三項の規定による財務省証券の発行及び一時借入金の借入の最高額
五  第十五条第二項の規定による国庫債務負担行為の限度額
六  前各号に掲げるものの外、予算の執行に関し必要な事項
七  その他政令で定める事項
第二十三条  歳入歳出予算は、その収入又は支出に関係のある部局等の組織の別に区分し、その部局等内においては、更に歳入にあつては、その性質に従つて部に大別し、且つ、各部中においてはこれを款項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを項に区分しなければならない。
第二十四条  予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。
第二十五条  継続費は、その支出に関係のある部局等の組織の別に区分し、その部局等内においては、項に区分し、更に各項ごとにその総額及び年割額を示し、且つ、その必要の理由を明らかにしなければならない。
第二十六条  国庫債務負担行為は、事項ごとに、その必要の理由を明らかにし、且つ、行為をなす年度及び債務負担の限度額を明らかにし、又、必要に応じて行為に基いて支出をなすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。
第二十七条  内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の一月中に、国会に提出するのを常例とする。
第二十八条  国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。
一  歳入予算明細書
二  各省各庁の予定経費要求書等
三  前前年度歳入歳出決算の総計表及び純計表、前年度歳入歳出決算見込の総計表及び純計表並びに当該年度歳入歳出予算の総計表及び純計表
四  国庫の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における見込に関する調書
五  国債及び借入金の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込及びその償還年次表に関する調書
六  国有財産の前前年度末における現在高並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込に関する調書
七  国が、出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての前前年度、前年度及び当該年度の状況に関する調書
八  国庫債務負担行為で翌年度以降に亘るものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度に亘る事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況等に関する調書
九  継続費についての前前年度末までの支出額、前年度末までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに事業の全体の計画及びその進行状況等に関する調書
十  その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類
第二十九条  内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。
一  法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合
二  予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合
第三十条  内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。
2  暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてなしたものとみなす。